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投稿者: CANPAN運営事務局

【ソトコト】ツバルで見た光景(2008年5月号)(2008年5月12日)

ソトコト(2008年5月号)
ソトコト(2008年5月号)
中国双璧都市に環境試験的旅行!いま、このモンストラスな国家に何が起こっているのか?テレビや新聞の情報からは読み取れない、本当の胎動を感じたくて旅に出た。
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ツバルで見た光景

野口 健の気づきの扉
volume 47
Insight of Realist


【ソトコト】(2008年5月号)


鴨下一郎環境大臣との会談

2008年3月5日、南太平洋の島国、ツバルへと旅立つ直前、私は鴨下一郎環境大臣と環境省大臣室にて会談を行った。テーマは、地球温暖化の影響を受けているヒマラヤ地域の氷河融解防止、および氷河湖決壊防止対策について。気候変動の影響によりヒマラヤ地域の氷河が急速に融解し、ヒマラヤ流域国に洪水などの被害が相次いでいることはすでに『ソトコト』でも紹介させていただいた。何とか日本の目をヒマラヤ地域にも向けていただきたい、そう願っての大臣会談だった。

大臣に対してヒマラヤ地域の状況説明をした後、同じく地球温暖化による海面上昇が深刻なツバルに「今から出かけます」とお伝えしたところ、「私も福田首相の指示を受け、1月にツバルを訪れました。温室効果ガスを削減していくといった緩和策や削減対策も重要ですが、同時に開発途上国など地球温暖化に対して脆弱な地域に支援をしなければならないと感じました。日本が単独で、あるいはG8などの先進国と合意形成し、資金メカニズム、技術移転、適応など、あらゆる面でどのような支援ができるのか? 考える必要があると感じました」と、おっしゃられた。

またヒマラヤ地域に対して、「日本政府がヒマラヤの氷河対策に乗り出すことになれば世界に向けて大きなメッセージになると感じています。北海道洞爺湖サミットに向けて日本はすぐにでもアクションを起こさなければいけません。急ぎましょう」と力強いお言葉をいただいたのだ。

いざ、ツバルへ

鴨下大臣との会談を終え、一路成田空港へ。今回のツバル行きは、温暖化による海面上昇で、被害を受けるツバルを支援する、コスモ石油エコカード基金の現地視察の一環としての訪問である。5年ぶりに訪れたツバルは、上空から見ても一目で分かるほど建物が増え、以前はほとんど走っていなかった車が、今ではちょっとした渋滞ができるほどになっていた。

ツバルは9つの島からなる小さな島国。人口は約1万1000人(人口でいうと世界で2番目に少ない)、面積約26平方キロメートル(東京都の品川区と同じぐらい)。平均海抜は2メートル、サンゴ礁に土が堆積してできた島だが、最も高い場所でも海抜5メートルと低い。ツバル入りしてすぐに、コスモ石油の鴇田穂積環境室長のご尽力により、アピサイ・イエレミア首相との会談の機会を得た。イエレミア首相は、昨年私が運営委員を務めた「第1回アジア・太平洋水サミット」にも出席されていたものの、直接お話しするのは今回が初めて。

水サミットでは「温室効果ガスが原因で、ツバル等、島嶼国が水没の危機にさらされている。特に京都議定書に参加していないアメリカ等には責任ある行動を取ってほしい。我々が置かれている現状は人類への警告だ」と、訴えられていた。イエレミア首相は開口一番、「別府での水サミットで私たちの訴えが世界に広まった。水サミットに感謝しています。先日、日本が提案したアメリカ、中国、インド等すべての国が参加する作業部会の設置について私は大賛成です。なぜならば地球温暖化は人類の命がかかっているという認識を全世界が共有することが、重要だから。福田首相はていねいで誠実でとても話しやすかったし、私の訴えに対して、鴨下環境大臣、環境省やJICA等の調査団が訪問するなど、すぐに行動に移してくださった。今後、日本に期待することは、米国などの京都議定書を批准していない主要排出国に参加を呼びかけることだ」と、力説された。

私からヒマラヤ地域の状況を説明したところ、「地球温暖化の影響でヒマラヤの氷河が解けだし、氷河湖が決壊して洪水等が起きているとあなたから聞いたが、ヒマラヤもツバル同様に地球温暖化の被害者だ。あなたは、ツバルやヒマラヤ地域等の被害を受けている国々が集まって声を一つにし、国際社会に訴えたほうがパワーを持つと言ったが、私も同感である」とのお言葉をいただいた。わずか20分ほどの短い会談ではあったが、イエレミア首相の熱い思いは充分伝わってきた。

大潮による塩害

大潮による塩害で首都フナフチでは農業が困難になり、食料自給率はカロリーベースで4割前後と日本並みに低い。私が訪れた日も午後4時30分頃から地面の至る所で海水が噴出し、ツバルの主食であるタロイモやバナナ畑等に深刻な塩害の被害をもたらしていた。町の集会所前の広場では地面から海水がジワリジワリと湧き始め、1時間もたたないうちに辺りはすっかり水浸しになってしまった。十数年前までは、地下水を汲み上げて生活していた井戸も、今では塩害によりフナフチではすべて使用不可能となってしまった。生活水の主な源は雨水の貯留だが、乾期になると過度な水不足に陥る。海水の淡水化装置もあるが、かなりのコストがかかるという。水も食料もない僻地では、海外に食料を依存するしか方法はないのかもしれない。

ゴミに埋まるツバル

近年島民はフィジーから缶詰め等の食料に依存する傾向が強く、至る所に空き缶が転がり、島の外れにあるゴミ捨て場の様子はまるでゴミによる埋め立て地のようだった。5年前もすでにゴミに覆われていたが、私が受けた印象では倍ほどゴミの量が増えているように感じられた。ゴミ捨て場でひときわ目を引いたのが、山積みにされた紙おむつ。極めて重要な水を使ってオムツを洗うよりも使い捨てのほうが勝手がいいとのこと。そして、病院から捨てられた注射器等の医療廃棄物。海面上昇の前にゴミによって滅びるのではないかと思わせるほどゴミの島だった。
さて、次号はツバルでマングローブの植林活動を行う写真家・遠藤秀一さんとの対談をお送りしたい。

のぐち・けん●アルピニスト。
1973年ボストン生まれ。登山家。1999年エベレスト登頂、当時の7大陸最高峰登頂最年少記録を25歳で樹立。
2000〜2003年4回のエベレスト清掃登山によりネパール山岳協会より表彰。
現在、富士山の環境問題、子どもたちのための環境学校に取り組んでいる。


ソトコト・・・ロハスピープルのための快適生活マガジン。 
●「SOTOKOTO」は、アフリカのバンツ一族の言葉で「木の下」のこと。「木の下には叡智が宿る」という意味を込めて誌名としました。ソトコトは完全リサイクルマガジン。再生紙とエコインクを全面使用し、表紙は環境に優しく再生可能な「TECHNOF」加工です。


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