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【 スポットライト 】
投稿者: CANPAN運営事務局
【ソトコト】 たのしく、あかるく、おもしろく。阿蘇のふもとのスローライフ (2006年6月号)(2006年6月12日)

- ソトコト(2006年6月号)
たのしく、あかるく、おもしろく。阿蘇のふもとのスローライフ
【ソトコト】(2006年6月号)
Guest
波多野 毅
Takeshi Hatano
文・写真●辻 信一
阿蘇の外輪山のふもとの小国町と南小国町を舞台に、持続可能なスローライフの実験が進められている。生活体験を大切にする学習塾と有機農業の農場を核とする「TAO」だ。その中心人物は波多野毅さん。TAOとは、あの道教の道からきているものと思ったぼくは波多野さんに確かめてみた。すると彼は、「まぁ、もともとはそうだったんですが……」と、ちょっと照れくさそうに笑った。そしてこんな話をしてくれた。いろんな人が「TAOってなんの略?」と聞いてくるので、その度に彼は「何だと思う?」と聞き返していた。「いろいろ変てこな答えがあったんですが、ある時、不登校で中学校には行かないけどTAO塾には来ているという子に聞いたら、自信をもってこう言うんです。『たのしく、あかるく、おもしろくのTAOでしょ』って。ああ、そうだったんだ、と感動しました。で、早速パクラせてもらったんです」「たのしく、あかるく、おもしろく」。なるほど、結局のところ、それがタオイズムの真髄というものかもしれない。
かっこいい大人との出会い
辻信一(以下T) 波多野さんの活動として、まずTAO塾という寺子屋塾があります。
波多野毅(以下H) はい、読み書き、そろばんから、ピアノやお習字まで。それとは別に特別講座として「世界人講座」と、「社会人講座」というのをやっています。特に社会人講座はぼくが最もやりたいことのひとつなんです。子どもたちが、愉しそうに自分らしい生き方をしている大人たちと出会える場所をつくりたい、と。子どもにとって、「あ、あんな人になりたいな」「かっこいいな」って思えるような大人の存在を知るほど力になることはないと思うから。
T 塾には、大学受験を選ぶ子もいれば、他の選択肢を選ぶ子もいるわけですね。
H はい。例えば、うちで勉強していた子で、ドイツに住んでパン職人になろうと修業している子がいます。もともと環境に興味のある子でしたが、まず地元のソバ職人に出会って、「ああ、こういうかっこいい生き方もあるんだ!」って。その後、世界人講座でドイツ人にも出会って、大学に行く代わりにパン職人になる道を選んだ。
T もうひとつは、TAO農場ですね。これはどんな経緯で始められたんですか。
H 10年くらい前に小国に帰ってくることになった頃から、健康とか教育に関わりのある仕事をしたい、そのためのキャンパスは農的な暮らしだな、と思っていました。それで農場がずっと欲しかったんですが、3年前に、となりの南小国にやっと土地が手に入った。田んぼと畑と果樹園の全体で7反歩くらいです。あそこは縄文的な場所なんですよ。押戸石山という日本最大級の巨石が出ている山のすぐ下です。
T 波多野さんたちが考案したおがくずの酵素風呂にも、とても感動しました。TAOは癒しの場になりつつあるようですね。
医・食・農をめぐる旅
T 波多野さんはいわゆるUターンですね。
H ここで生まれ育ちました。野性的な少年でしたよ。でも、中学くらいから「小国」っていう言葉が嫌いになって。「小さい」だなんて、と。「大きいことはいいことだ」という高度成長期の真っ只中の時代でしたから。大きな都会にあこがれてね。
T 外に出る以外はない、みたいな気分が農漁村の子どもや若者たちに満ちていた時代ですね。子ども時代の暮らしをもう少し聞かせてください。
H まわりは農家で、うちだけ公務員だった。でも、農村にはちがいないですからね。汲み取り式の便所で、家のそばには畑があり、肥溜めから畑に糞尿を戻すという完全な循環型です。大学に入るまでトイレでティッシュいりませんでしたから。腸が良かったんですね。粗食だったんです。それがどんどん変わっていく。子どもの頃には野菜しかなかったのに、肉が増えていって、インスタントラーメンやカップラーメンとかが出てくる。
自分の住んでいる土地にありがたみがなかったんです。故郷を出て初めてそのありがたみが分かるというじゃないですか。ぼくの場合がまさにそれ。
T でも、そのありがたみにいつまでも気づかないという人のほうが多いんじゃないかな。波多野さんの場合、どんなことが転機になったんでしょう。
H 東京の大学を卒業してから、長野県の堀田俊夫さんの「学育塾」という私塾へ「就職」したのが大きな転機になりました。教育なんてそもそもできるものではない、もともと子どもというのは、学び育つものだ、というのが堀田さんの思想です。彼はいつもみんなに、「今あなたがもっている好奇心ほど尊いものはない」、と言ってました。ぼくはそれまで体育会系で本を読むのが好きじゃなかった。それが長野に行ってからは、堀田さんのそばにいるだけで知的好奇心が湧いてくる。本が読みたくなる。
T そういう学びのスタイルが、今のTAO塾に活かされているわけですね。
H もうひとつ、大学時代にやっていたサークルの仲間たちが、波多野が長野に行くんなら百姓のまねごとをやろうと言い出して、みんなで田んぼを借りたんです。社会問題を扱っていても、教育や医療や環境のことをやっていても、結局行き着くのは農的な暮らしなんですね。
T ひと昔前にヒッピーたちが唱えた「自然に還ろう」を思い出します。
H やがて田植えの時などに、いろんな人が集まるようになった。その中に今でいう代替医療や東洋医学を仕事にする人たちがいて、ぼくもその分野に興味をもつようになりました。で、しまいには長野から東京に戻って鍼灸学校に行った。さらに勉強したい人は中国に行くんですが、ぼくは「医食同源」の食のほうに興味があった。しかしその頃は食におけるオルタナティブはアメリカのほうが盛んだったので、今度はアメリカへ行こう、と。そして1年、ボストンの久司道夫さんのところでマクロビオティックの修業をしました。
★つづきは、「ソトコト」2006年6月号をご覧ください。
ソトコト・・・ロハスピープルのための快適生活マガジン。
●「SOTOKOTO」は、アフリカのバンツ一族の言葉で「木の下」のこと。「木の下には叡智が宿る」という意味を込めて誌名としました。ソトコトは完全リサイクルマガジン。再生紙とエコインクを全面使用し、表紙は環境に優しく再生可能な「TECHNOF」加工です。
【連絡先】
株式会社 木楽舎
〒104-0045 東京都中央区築地7-12-7 築地FTSビル5階
TEL:03-3524-9572
FAX:03-3524-9675
E-Mail:shop@sotokoto.net
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阿蘇の外輪山のふもとの小国町と南小国町を舞台に、持続可能なスローライフの実験が進められている。生活体験を大切にする学習塾と有機農業の農場を核とする「TAO」だ。その中心人物は波多野毅さん。TAOとは、あの道教の道からきているものと思ったぼくは波多野さんに確かめてみた。すると彼は、「まぁ、もともとはそうだったんですが……」と、ちょっと照れくさそうに笑った。そしてこんな話をしてくれた。いろんな人が「TAOってなんの略?」と聞いてくるので、その度に彼は「何だと思う?」と聞き返していた。「いろいろ変てこな答えがあったんですが、ある時、不登校で中学校には行かないけどTAO塾には来ているという子に聞いたら、自信をもってこう言うんです。『たのしく、あかるく、おもしろくのTAOでしょ』って。ああ、そうだったんだ、と感動しました。で、早速パクラせてもらったんです」「たのしく、あかるく、おもしろく」。なるほど、結局のところ、それがタオイズムの真髄というものかもしれない。
かっこいい大人との出会い
辻信一(以下T) 波多野さんの活動として、まずTAO塾という寺子屋塾があります。
波多野毅(以下H) はい、読み書き、そろばんから、ピアノやお習字まで。それとは別に特別講座として「世界人講座」と、「社会人講座」というのをやっています。特に社会人講座はぼくが最もやりたいことのひとつなんです。子どもたちが、愉しそうに自分らしい生き方をしている大人たちと出会える場所をつくりたい、と。子どもにとって、「あ、あんな人になりたいな」「かっこいいな」って思えるような大人の存在を知るほど力になることはないと思うから。
T 塾には、大学受験を選ぶ子もいれば、他の選択肢を選ぶ子もいるわけですね。
H はい。例えば、うちで勉強していた子で、ドイツに住んでパン職人になろうと修業している子がいます。もともと環境に興味のある子でしたが、まず地元のソバ職人に出会って、「ああ、こういうかっこいい生き方もあるんだ!」って。その後、世界人講座でドイツ人にも出会って、大学に行く代わりにパン職人になる道を選んだ。
T もうひとつは、TAO農場ですね。これはどんな経緯で始められたんですか。
H 10年くらい前に小国に帰ってくることになった頃から、健康とか教育に関わりのある仕事をしたい、そのためのキャンパスは農的な暮らしだな、と思っていました。それで農場がずっと欲しかったんですが、3年前に、となりの南小国にやっと土地が手に入った。田んぼと畑と果樹園の全体で7反歩くらいです。あそこは縄文的な場所なんですよ。押戸石山という日本最大級の巨石が出ている山のすぐ下です。
T 波多野さんたちが考案したおがくずの酵素風呂にも、とても感動しました。TAOは癒しの場になりつつあるようですね。
医・食・農をめぐる旅
T 波多野さんはいわゆるUターンですね。
H ここで生まれ育ちました。野性的な少年でしたよ。でも、中学くらいから「小国」っていう言葉が嫌いになって。「小さい」だなんて、と。「大きいことはいいことだ」という高度成長期の真っ只中の時代でしたから。大きな都会にあこがれてね。
T 外に出る以外はない、みたいな気分が農漁村の子どもや若者たちに満ちていた時代ですね。子ども時代の暮らしをもう少し聞かせてください。
H まわりは農家で、うちだけ公務員だった。でも、農村にはちがいないですからね。汲み取り式の便所で、家のそばには畑があり、肥溜めから畑に糞尿を戻すという完全な循環型です。大学に入るまでトイレでティッシュいりませんでしたから。腸が良かったんですね。粗食だったんです。それがどんどん変わっていく。子どもの頃には野菜しかなかったのに、肉が増えていって、インスタントラーメンやカップラーメンとかが出てくる。
自分の住んでいる土地にありがたみがなかったんです。故郷を出て初めてそのありがたみが分かるというじゃないですか。ぼくの場合がまさにそれ。
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H 東京の大学を卒業してから、長野県の堀田俊夫さんの「学育塾」という私塾へ「就職」したのが大きな転機になりました。教育なんてそもそもできるものではない、もともと子どもというのは、学び育つものだ、というのが堀田さんの思想です。彼はいつもみんなに、「今あなたがもっている好奇心ほど尊いものはない」、と言ってました。ぼくはそれまで体育会系で本を読むのが好きじゃなかった。それが長野に行ってからは、堀田さんのそばにいるだけで知的好奇心が湧いてくる。本が読みたくなる。
T そういう学びのスタイルが、今のTAO塾に活かされているわけですね。
H もうひとつ、大学時代にやっていたサークルの仲間たちが、波多野が長野に行くんなら百姓のまねごとをやろうと言い出して、みんなで田んぼを借りたんです。社会問題を扱っていても、教育や医療や環境のことをやっていても、結局行き着くのは農的な暮らしなんですね。
T ひと昔前にヒッピーたちが唱えた「自然に還ろう」を思い出します。
H やがて田植えの時などに、いろんな人が集まるようになった。その中に今でいう代替医療や東洋医学を仕事にする人たちがいて、ぼくもその分野に興味をもつようになりました。で、しまいには長野から東京に戻って鍼灸学校に行った。さらに勉強したい人は中国に行くんですが、ぼくは「医食同源」の食のほうに興味があった。しかしその頃は食におけるオルタナティブはアメリカのほうが盛んだったので、今度はアメリカへ行こう、と。そして1年、ボストンの久司道夫さんのところでマクロビオティックの修業をしました。
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●「SOTOKOTO」は、アフリカのバンツ一族の言葉で「木の下」のこと。「木の下には叡智が宿る」という意味を込めて誌名としました。ソトコトは完全リサイクルマガジン。再生紙とエコインクを全面使用し、表紙は環境に優しく再生可能な「TECHNOF」加工です。
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